真那、瞳の奥に

乾いた風が砂を巻き上げる。
ここは戦場。
アタシは手に持ったハンドガンを握りなおし、敵の位置を探る。

通常視覚に反応なし、サーモグラフィ反応…なし。
音波…チェックするまでもなく、後ろからエンジンの音がけたたましく鳴り響く。

振り返りそっちにハンドガンを構えると建物の壁。
大丈夫、まだばれて…

「そこに居るのは分かっているのですよ、真那?」

壁が巨大な爪にはがされ、声の主が姿を現す。
イーダ型雪納。
彼女が、そのトライクが変化した腕で壁をはがしたのだった。

反射的にトリガーを弾くものの、全てが弾かれる。
狙いが甘い?

「狙いが甘いし、撃つまでが遅いです」

…思ったこと以上に指摘してくる。
だけど、銃器は扱いにくい。
何よりトライクの、武装の装甲を撃ち抜く威力がハンドガンにはない。
迷わずに投げ捨てて、ビームアックスを装備する。

「…まけない」
「そう来なくては」

一歩、二歩、三歩で最大速に乗せて、ビームアックスを振るう。

ビームアックスが弾かれ地面に落ちる。

「……残念ですわね」

そういう、雪納のトライクアームは二本とも切断されていた。
……と言うことは、アタシ勝った?
勝てたよ!
雪納お姉ちゃんに勝てた!!
マスター!褒めて!そして撫でて!
そして…眠い……くー。

「……本当に、残念ですわね。まだ結果が出ていませんのに」

こうして、アタシは128回目の負けを記録した。