3ヶ月に一度だけ、この店舗のバトルロンドに参加することがあります。
店内統一ランキングサバイバル、ランキング第3位、"幻の女王"雪納。
それが、この店においての私の存在。
トライクはナノスキンを使用して、迷彩ステルスを行います。
光学迷彩ほどの効果はない代わりに、バッテリー消費も費用も抑えられる優れもの。
密林エリアをシロさんが、廃墟エリアをアクスさんが抑えているであろう今
私が立つのは、自分の武装が最大限に発揮できる都市部エリア。
メインストリートをゆっくり走っていると、上空から声がかけられます。
「見かけない…新人さん、ごめんね!」
声とほぼ同時に進路に突き刺さったのは、手裏剣?
そして正面にはサイフォスが待ち構えています。
「貴殿に恨みはないが、これも勝負なので。すみませんが…」
サイフォスが振るう剣からは衝撃波が飛んできますが
ハイマニューバを語るイーダ型にとって、見る間でもなく回避は余裕です。
たとえ、上から逃げ道をふさぐように攻撃が加えられても。
「3人がかりとは……よっぽど新人のようですね」
サイフォスは一度剣を鞘に収めたのを確認して私は、トライクを一度止める。
フブキとミズキはそれぞれ街路樹に着地。
「我が名はリリシア!マスター、藤堂にささげた剣に誓って貴殿に勝つ!」
「…美鈴、参ります」
「我が名はフブ…っほ!?」
フブキの乗っていた枝が折れ、足元のゴミ箱に頭から落下していました。
「リリシア、美鈴、ふぶっほ…。その実力、見せていただきます」
「フブッホではないでござる!」
アクセルを全開、まずは起き上がろうとしているフブキを遠慮なく轢く。
そのまま、ビルの壁を土台に上に登り、美鈴の上へと落下。
「居ない?」
「我等、忍者型と捕らえるのは不可能!我が忍法の餌食となれ!」
仕方ないので、居たはずの場所を中継して、フブッホへ追撃。
「ひどいでござる!?」
「勝負、ですから」
姿を捉えられないのであれば、捉えることの出来るほうから。
ポリゴンとなり消えていくフブッホを後に、リリシアへと攻める。
お互いの射程圏内に入る直前に急ブレーキをかけて、空中でトライクモードからバトルモードへと変形。
さらに、右手にエアロヴァジュラを装備しての剣戟を行いますが、きれいに受け止められてしまいました。
「反らすことが出来ず、受け止めることになるとは…やるではないか」
「褒めても、出てくるのは攻撃だけですよ?」
左副腕での一撃は、後ろに下がる事で回避されてしまいます。
さらに、下がるのと同時に、手持ちの盾を投げてきましたが、顔をそらすだけで回避…。
「くっ、我が一撃を見切るとは…きゅぅ」
「我等が勝負、このタイミングで入られては面白くない」
『何より、倒した人がポイントを得るし…リリシア、その相手はやばい。本気でいくぞ』
「何をいきなり…いえ、マスターが言うのでしたら…」
マスクを投げ捨て、アーマーを脱ぎ捨てる。
脱ぎ捨てたらそれらは、ポリゴン…光の粒子となっていく。
そして、リリシアを囲む光の粒子が形取り、新たな武装が転送されてきます。
その姿は、サイフォスではなく、ハイスピード型…アークのそれだった。
「ここからは全力で舞う。マスターに捧げる」
「最高の舞踏を、貴方と私で」
脱ぎ捨てられたアーマーだったものが、完全に姿を消すのと同時に、
私と彼女はそれぞれ、前へと踏み込む。
そして、バトルモードからトライクモードへ変形しての都市エリアのバトルが始まった。