神姫対神姫。
勝つためだけでなく、魅せる為、マスターに捧げる舞。
それが、バトルロンド。
細部までメンテナンスが施された武装で、縦横無尽に無双するアクス。
プチマスィーンやマスターとの連携で、旋牙ひとつで勝ち続けるシロ。
トライクとしての性能をフルに発揮し、高速を駆け抜ける雪納とリリシア。
上空を制するのは京香と、ワタシの力を受け継いだ真那。
店内全筐体をつないだネットワークの大会モードは
各エリアを順番に中継していく。
その様子を、葵と肩に乗ったワタシは眺めていた。
「…サードレベルの神姫はほとんど壊滅した模様。ここからが本番と言うところでしょうか」
「そうなんだけど、なんかずるいよね」
「ずるい、とは?」
「雪納、マスターもなしに参戦して、なんで3位とかなの?!」
入門したてのサードクラスに対して、公式大会における戦績で昇進するセカンドクラス。
上位層こそ全国クラスで二つ名を持つような化け物とも呼べる神姫で占められているが
中堅は、全国ほどでないにせよ、地方にはそれなりに名前の通った神姫が多い。
その中で、マスターの指示なくとも中堅を維持出来ている、その事実から雪納の実力はうかがい知れる。
だけど
「マスターの指示なしで、シロやアクス…京香の相手は辛いでしょうね」
「ノア?一体何を言ってるの?」
"ドリルダイバー"シロは、店内では2位。
雪納のすぐ上ではあるが、その間にある壁は厚い。
元々、雪納がバトルロンドにあまり参加しないのもあるが
マスター…海人が付いても勝率は3割あるかどうか怪しいところだ。
ランキング1位であるアクスはさらにその上、全国セカンドリーグでも上位に食いこもうという場所に居る。
そして、諸事情により素体が新しくなり、サードランクからやり直し中とはいえ
アーンヴァル型の京香はリアルリーグ…ファーストランク神姫であった。
「何か…、何か、新しいモノを身につけねば…この先、生き残れませんよ」
この最中に、真那がどこまでいけるのか。
そして、雪納がどこまで生き残ることの出来るのか。
ノアの演算能力でも、その答えは出ない…