一直線に突撃してリノケロスを振るうが盾で防がれ、
副腕のジュダイクスで追撃するがビームサーベルで攻撃をそらされる。
さらに、生身での蹴りが飛んでくる。
レールガンを撃っても、狙いが正確になった分、マシンガンで撃ち落される。
そして、動きを止めれば小競り合いの間にチャージされたレーザーライフルが容赦なく火を噴いてくる。
「はあ、はあ…すごく、つよい」
先週のサバイバルとは、まったく違う。
まるで別人のように強い。
「この一週間、ずっと鍛えてきたんです。だから」
『だから、俺達は』
「私達は」
『「負けない!」』
アタシの攻撃がことごとく効いてない状態だった。
最初の奇襲に近い突撃戦法も
レールガンによる銃撃戦も
リノケロスとジュダイクスによる三連撃も
全てがすべて、防がれてしまう。
「ほんとうに、さーどくらす?」
『あれは、サードじゃない。本来この店に居ない、居なかったファーストクラスだ』
「…よくわかんないけど、あくすよりつよいよね」
『そうだな。だけど』
「アタシたちだって」
『俺達だって』
「『それなりにつよい!』」
ブースターを稼動させ、リノケロスを構えての突撃。
「ワンパターンすぎですよ。貴方は…そんな残念な人なのですか?」
ビームサーベルを使って攻撃を逸らす京香。
だが、その次の瞬間に事態は変化した。
京香のバックパックスタスターの破損。
真那がすれ違いと同時に身体を捻ったことで生まれた攻撃だった。
『リバーサル・スクラッチ?いや、あれは…』
「ですが、スラスターの破損は事実。あの攻撃は"エトランゼ"のリバーサル・スクラッチです」
きっかけは閣下が持ってきた対戦記録映像だった。
変幻自在の全身を使ったカウンター。
それを、自分の攻撃に対するカウンターへのカウンターに使うのは
アタシ1人で戦うわけじゃないから。
「のあも、ここにいてくれるから」
「だからって、ただ堕ちるだけで終われるわけが…ないでしょ!」
バックパックの爆発。
リバーサル・スクラッチに対して、京香もただやれれるだけではなかった。
相手の、真那の副腕にビームサーベルを咄嗟に装備、副腕を戻すだけで自動的にバックパックに刺さるという寸法だった。
機能を失ったバックパックをパージするものの、飛ぶ力を失った神姫は、地上へと落ちるしかない。
その先は、森と廃墟の間を砂が覆う…砂漠エリア。
落下の衝撃は砂に吸収された。
真那と京香、先に起きたのは真那の方だった。
「きょーかちゃんは…ど?ゆれ?」
『跳躍、右へ1歩!』
真那は、指示を正確に行おうとした。
タイミングも、方向も、距離も、全てが完璧に行われているはずだった。
それが、普通の地面であれば。
砂漠という特殊な環境に落ちたからこそ助かったが、跳躍をする土台としては最悪のものだった。
「あ…どりる……?」
だから、砂の中から飛び出てきたシロの一撃を回避するには
あまりに急すぎて、あまりに遅すぎた。
真那が最後に見たのは、自分の胸から飛び出た旋牙の先端だった。
「にゃははは、悪く思うにゃよ!?」
「あなたも悪く思わないでください。私のライバルを横から倒すなど…」
真那の身体が消える前に、シロの体もまた、レーザーライフルの一撃が貫いていた。