RO手記5

月「…それでいいんだね?君は」
猫「うに…猫は直接言う勇気がないですから」
月「仕方ないな。君に月の微笑みがあるように…」
二人が見上げる空に浮かぶのは…ほんのり魔力を帯びた赤い月。


数日後、レイブルムーンの姿は春乃、彼方と共に西オーク村と呼ばれるところに居た。
月「彼方! もっと周りを見ろ。春がダメージを受けないようにするんだ!」
彼「わかってる! 春のこと、俺は好きだから、諦め切れなかったから」
ハイオークの集団が、三人を襲っていた。
いや、オーク種族の村なのだから彼らにとっては防衛なのだろうが。

月「ちっ! だから見えていないと…。バッシュ!! 」
彼「まだ…終わってたまるか! ピアース!! 」
レイブルムーンの剣と、彼方の槍。二つの武器が倒れていく体を増やしてゆく。
春「ブレッシング!! 速度増加!! ヒール!! キリエエレイソン!! ちょっとこの量は…辛いですね」

彼「俺は、春が好きだから。だから、隣にいたいんだ!」
月「…彼方。そう思うならば、焦るな。焦れば崩壊を呼び寄せるだけだぞ」
オーク達の数は減るどころか次第に増えてゆく。

月「この数は…まさか、オークヒーローが来るのか?」
彼「何からだって、俺は守りたいんだ!」
月「時には引くことも勇気だぞ!」
さらに数が増えるオークの集団の中に、彼方は突撃してゆく。

月「まったく…春! 支援を頼む」
春「あ、はい! 神よ…イムポシティオマヌス!! 」
レイブルムーンの剣に神の祝福を与えることで一時的に攻撃力が上がってゆく。
それを受けて、レイブルムーンも剣を打ち合わせてから集団へ突撃してゆく。
月「受けろ…我等、王国騎士団に伝わる奥義を! ボーリングバッシュ!! 」
彼「負けてられるか! ピアース!! ピアース!! 」

月「そんなようでは春を守れないぞ! 状況を見極めなければ死なないところで命を落とす!」
彼「俺は…俺はー!!」


数十分後、倒れふすオーク達の中に立つ、彼方とレイブルムーン、そして春の姿が残っていた。
春「オークヒーローが居なくて、よかったです」
月「そうだね。彼方、最後にひとつだけ言わせてもらう」
彼「何?」
月「君が今後、春を不幸にしたと判断したときは、猫の名において春を奪うからな」
彼「受けてたつよ。俺は絶対に負けないから」
春「と、とりあえず天津に帰りましょうか; もう空も暗いですし」

空に月は、まだ姿を見せては居なかった。
月「そうだな、戻ろうか。さてはて、今宵の月は、何色に輝くのかな…?」