その日、猫はゼロや月海に連れられて、なぜか崑崙に来ていた。
猫「うにゅ…なんでここに居るのかにゃ…? 」
数分前、見知らぬおじさんから突然石を持たされ、そしてここ-闘技場-に送り込まれていた。
そして、観覧席から義姉のレイナが戦う様子を見ているのだった。
ゼロ「猫、ひとつ言わなきゃいけない事なんだが」
猫「うに?」
ゼロ「今、俺は月海と付き合ってる。」
付き合っていることは猫も薄々とは感じていた。だから、黙って話を聞くことにした。
ゼロ「それで、今度結婚しようと思ってる」
猫「うにゃ?! 結婚…」
結婚という単語を聞いた途端に猫の中で浮かんだ人物、春乃はこの場には居ない。
ゼロ「月海を、守ってやりたいしな」
猫「ゼロ君なら、安心なのですにゃ」
ゼロ「日取りが決まったらまた教えるよ。猫もそれで良いかな? 」
猫「……うに。分かったのですにゃ」
胸に募る春への想いを自ら感じながらも視線を、ステージに戻すが、その上には倒れたアラームが居るだけであった。
レイナ「猫ちゃんたち、何を話しているの? 」
海「春さんたちの事。春さん、彼と付き合って大丈夫かなって」
少し前まで、月海と彼方は付き合っていた。だが、精神面で傷を負い、月海は彼を振ることになった。
その事を含めて、春と彼方の二人を指しているのだろう。
レイナ「大丈夫よ。春ちゃんが傷つくときには、猫ちゃんが奪いに行くでしょ」
猫「そのつもりですけど…、奪って大丈夫なのかにゃ?」
雲より高い位置にある崑崙で、満天の星が光り輝く中を、猫は春乃のことを思い浮かべていた。