ルーンミットガッツ王国王宮騎士兵舎。
ここでは、プロンテラ王国騎士団に所属するものや、その候補生である訓練生達が日夜を過ごす場所となっている。
夜「あれ?月がこんなところに来るなんて珍しくないか?」
訓練生の一人-夜姫-が見かけたのは、普段は自分達の屋敷で暮らす幼馴染のレイブルムーンだった。
その横には、見慣れないプリーストの姿もある。
月「夜か…。いい機会だし紹介しておくよ。こちらは、君の猫が好きになってる春乃さんだ」
春「ぇ。いきなりそんな紹介しないでくださ…って、姫さん飼い猫だったんですか?」
姫猫は人に見えても、猫です。誰がなんと言おうと猫なのです。
夜「貴女があの子の…」
月「…良いかな? こっちは夜の姫と書いてヨキ。私の幼馴染だよ」
春「よろしくお願いしますね」
春乃はそういいながら右手を差し出してくる。
が、夜姫はその手を見ながら、一瞬思考が停止する。
月「どうした? 夜、変なものでも食べたのか?」
夜「あ、いや、なんでもないさ。こちらこそよろしくお願いします」
これが、夜姫と春乃の初めての出会いだった。
夜「なんで、今頃その話を持ってくるかな? 月は」
月「それで、しばらく一緒に行動するようになって、告白したのだっけ? 」
星「その話、もっと詳しく聞きたいですね。ねぇ、夕矢もそう思わない? 」
夕「え? なんで、レイブルスターは兄さんの恋愛話を僕に振ってくるのさぁ;」
レイブル家一族の暮らす屋敷での、親戚一同による会食。
その食堂の窓から見える空は、雲に隠されていた青い月が、顔を出し始めたばかりであった。