機動戦士ガンダムAA Pack15.ガンダムパイロット

今週は間に合ったよー
ということで15話


【マーメイドⅡ:第2パイロット待機室】
「換装作業とかは私達に任せて、シミュレータールームへ行ってきなさい」
「クラリス中佐?」
「あの子達が、あなたたちに必要な覚悟を教えてくれるはずよ」
何かを感じたのか、クラリスは態度を変質させながら、待機室から6人を追い出してゆく。
オメダとフレアを先頭にシミュレータールームへ向かった事を確認して
クラリスは1人ため息を付く。
「人間が死ぬのは、嫌なものよねぇ」
【マーメイドⅡ:シミュレータールーム】
「来たわね」
「準備は済んでるので、入ってください」
シミュレータールームに6人が入ると、千里と秋山が出迎える。
それぞれ、名札が付けられたシミュレーターに座り、準備を行っていく。
「Ζプラスと違ってスペリオルは、完全なガンダムだからね」
「その名前の重さ、体感してもらいます」
搭乗機体のスペックが表示されたあと、シミュレーターは宇宙空間を表示する。
「…Ζプラスか」
「万城目大尉、勝利条件は?」
「6人で私達二人を落としてみなさい」
「元ガンダム乗りを甘くみると、痛いぞ」
画面中央に数字が表示され、カウントダウンが始まる。
0になると同時、フレアがカイトに話を振る。
「アストラルツー、クロスフォーメーション!」
「了解!」
フレアとカイトが、バーニアを吹かし秋山の機体に迫ろうとする。
それを確認してから、ゆっくりと秋山は機体を動かしてゆく。
「逃がすわけには!」
「いかないのよ!」
二人が声を上げる間も、機体の距離は縮まってゆく。
「ちゃんと周りも見ること。忘れるなよ」
秋山の言葉と同時に、乗った機体が動く。その後ろに隠されていたあるもの。
「隕石?!」
「回避が間に合わないなら!」
フレアがとっさに、ビームカノンで打ち砕くが、その間に秋山は二人から離れている。
「鬼ごっこじゃ勝てない…当然か」
「いいえ、勝てるわ」
「2人だけなら勝てないだろうがな」
「私達も居るんだからね」
秋山の進行方向から現れた2機。
オメダとアオイの乗ったΖプラスCとΖプラスE。
「デルタツヴァイから全機、データリンク設定完了!」
ウェイブシューター上部に設けられた大型レドームからのデータ以外にも
他の5機のΖプラスが得たデータも受け、それらのデータを整理して各機に配信する戦闘管制機能。
その目がシミュレーター内の空間を支配する。
「4機が俺の担当か…。足りないな?」
近接戦闘に向かないアオイ以外が、秋山に向かい襲い掛かろうと、その牙を剥こうとしていた。
だが、距離は縮まる事を知らず、徐々に開いてゆく。
「デルタツヴァイよりグランドワン、方向マイナス12度!仰角プラス3度!」
「アストラルワン、方向プラス7度!仰角プラス2.4!」
「アストラルツー、方向プラス1.1度!仰角マイナス5.3!」
デルタツヴァイの指示に従い、その距離を縮める事はかなうのだろうか
「いくよ、なのは!」
「いいよ、フェイトちゃん!」
なのはが、アオイから送られてくるデータを元に、必要な箇所に意識を送り
スターライトビットを配置してゆく。
専用ビームキャノン―ディバインバスター―を構え、エネルギーチャージを行う。
この間も、狙った先に居る万城目は、パイロットが乗っていないかのように機体は身動きしていない。
「スターライト……、ブレイカー!!」
トリガーを引き絞り、ディバインバスターを撃ち放つ。
薄い桃色に染まったその光は、設置されたスターライトビットへと吸い込まれ
勢いを強くして、その向こうへと突き抜けてゆく。
ビーム粒子の整流性を整え、威力を向上させるスターライトビットシステム。
本来は司令官隊長である水瀬准将の許可を得る必要があるほどの、考えうるシミュレーター内最強兵器。
勢いを強くしたディバインバスター改めスターライトブレイカーの光は
その先に待つスターライトビットにより、更に威力を高められてゆく。
だが、万城目は機体をまったく動かす気配がなく、光の奔流の影に姿をかき消されてゆく。
スターライトブレイカーを影に、フェイトのΖプラスが加速する。
なのはとフェイト、2人による二段構えの攻撃。
それを叶えるために、機体を変形しその手に、大型ビームサーベルを持ち起動させる。
「雷光一閃!プラズマザン…いない?!」
スターライトブレイカーの影に、万城目の姿はなくフェイトの動きが止まる。
「手品って知ってる?」
「フェイトちゃん、後ろ!」
ライフルを押し付けた万城目の機体が、フェイトの背中に張り付いていた。

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