ポケットモンスターブラック&ホワイト―ヒサメ

ポケットモンスターブラック&ホワイト開始に向けた発売直前SS
許可証=カードリッジ=ゲームソフト
という考え方なので 地方ごとに必要という設定に


「コウ、ちょっと待てって!だから人の話を聞けって!」
1人の青年が、中央通りを女性に引っ張られながら歩いていく。
「いや、むしろ、話を聞かせろってば!」
「着いたら言うってば」
コウと呼ばれた女性のほうは、青年への返答を拒みながら歩いていく。
2人の目的地、ミナセラボへと向かって……
「イッシュ地方の調査、人手が足りないんでしょ?私たちが行くわ!」
コウは、このラボ責任者であるカイトに向かい、開口一番にこう言いはなっていた。
「確かに人では足りてないけどな。まだゴーゴー団やギンガ団残党の掃討も終わってないし」
カイトも、言葉と共に壁に表示した地方マップを眺めていく。
カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、オーレ、
フィオレ、アルミア、オブリビア、オレンジ諸島、そしてイッシュ。
「だから、私たちが行くのよ!」
「……コウ、たちって聞こえたんだけど」
「アキラ、当たり前のことを聞いてどうするの?」
アキラと呼ばれた青年は、その事実を否定しようと試みる。
「だから、俺はこの場所で強くなってカントー地方に返り咲くんだって」
「私に一度も勝った事ないじゃない?それに…」
コウの言葉をさえぎるかのように、部屋の巨大スクリーンに3人の顔が浮かぶ。
そして、近隣の別エリア-クロスランドのユキ。
『イッシュ地方の調査許可、そちらは無事に降りたようですね』
「あぁ…それがどうかしたのか?」
『えぇ、こちらの方ではなかなか許可が今回降りなくて』
地方ポケモン調査。
各地のポケモン研究所では、その地方のポケモン調査は自由に行うことが出来る。
これは当然だが、同時にその利権をそれぞれ守るために規定が存在している。
すなわち、自分の研究所がある地方以外の地方の調査には、許可証を申請する必要がある。
許可証はカードリッジと呼ばれる小さな板状のデータチップになっており、
ポケモン調査…トーレナーとして活動するには必ず携帯する必要がある。
面倒なことに、地方ごとに許可証は申請発行され、1つの許可証では1人しか活動することは出来ない。
そこでイースティ諸島では2つ申請しておき、先発が基本的調査を行い、
後発がさらに詳しい調査を行う二重体制になっている。
『というわけでして、初期調査メンバーを2人にして欲しいのです』
「…了解した。メンバーはこちらで選定していいな?」
『えぇ、それはそちら側の許可証なのでもちろんです』
カイトは、詳細は後日連絡するとして、通信をきり、コウとアキラを眺める。
そして、覚悟を決めたかのように、ため息をひとつついてから、二人に告げる。
「…覚悟はあるか?」
「当然よ!私とアキラ、二人に任せなさい!」
「こうなったコウをとめる手段は持ち合わせてないからな。やるとなったら全力を尽くす!」
2人の返事を聞いてから、カイトは言葉を続ける。
「まず必要なのは生態調査だ。それ以外の活動判断は任せる」
モニターには、イッシュ地方の拡大地図が投影されている。
そして、女性の写真が表示される。
「まずは、ここのアララギ博士に会うようにしてくれ」
「分かったわ」
「やってやるぜ!」
イッシュ地方到着まであと6と10時間…

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