Each and All
『京香、覚悟する』
最初に目に入ったのは、アーク型とイーダ型が真鬼王に倒されるところ。
『京香、狙撃しよう』
「え?正々堂々したいのですが」
『当てなくていい。というか、多分向こうもこっちに気が付いてる』
GEモデルLC3レーザーライフルを構えて撃とうとしたとき、真鬼王の姿が消え…
いえ、あれは、真鬼王だったものをサイドボードへの転送したのでしょうか。
視る先に居るのは、カブトムシ型MMS…この店舗の頂点に君臨する王、アクス。
そのアクスが、こちらをむいて、口を動かしたところまでが見えました。
「ぜっ」
「た」
「い」
「ま」
「け」
「な」
「い」
絶対負けない。
「それは…、私の!私達の台詞です!」
GEモデルLC3レーザーライフルから手を離し、ブースターを焼ききれる限界まで加速。
アクスを目掛けて突撃を行う。
レーザーライフルはきっとマスターがサイドボードへ回収してくれるはず。
突撃しながらも、アルヴォPDW9を乱射して動きを阻害…したいのにミサイルを撃って弾幕を作る?!
ブースターの加速と重力に従って墜ちる私は、そのミサイルと私のアルヴォが作り出す弾幕へと突っ込むしかありません。
抜けた先には、バスタークロー。
身体を捻ってぎりぎりで、それを回避するものの、バックパック…翼がもぎ取られてしまいました。
こういう時にサイドボードに格納してくれると、助かるのですが…。
愚痴を言っていても仕方ありませんね。
M4ライトセイバーを手にして、追撃を免れます。
ですが、だいたいこの手の爪装備って…やっぱり基部にレーザー砲ですか!
「あ、危なかった…。先週ゾイド見てなかったら即死でした」
『ディスク出しっぱなしはお前か!』
「ち、違います。それは酔ったマスターです」
「よそ見している暇、あるなんて余裕の覚悟だね?」
マスターとの会話の間も、バスタークロー、本体の腕による3つの攻撃が絶え間なく繰り出されてきます。
正直、すごくピンチです。
ですが
『ピンチはチャンス。その時を待て』
「わかって…ます!」
じっと耐える事、十数秒。
短くて、そして長い時間をかけて、私はバスタークローのアームが動きが悪いことに気が付きました。
そして、そのアームが最も伸びるとき…私に突きを入れるそのタイミングで、バスタークローを切り落とします。
「見え透いたブラフに乗ってくるなんて…らしくないの……さっ」
相手も、狙っていたことが分かっていたのかバスタークローを伸ばすのと同時にミドルキック。
その一撃が、私のおなかへとクリーンヒットするものの、まだ倒れるわけには行きません。
よろめきながらも立ち上がる私に、一定距離を取ってアクスさんという壁が立ちはだかっていました。