機動戦士ガンダムAA Pcak17.覚醒する者
1時間ほど遅れたけれど17話
覚醒するのはまだ先のはずだったのにおかしいな
【マーメイドⅡ:シミュレーター内部】
「アストラルツー、退避を!」
カイトはフレアの声に、機体を咄嗟にその場から移動させる。
移動させる傍から、ビームが降り注ぐ。
「位置がばれたか」
狙撃手ほど位置が見つかっては不味いものはない。
射線を予測して攻撃が通らず、反撃も受けるようになる。
狙撃用の機体はジェネレーター出力を抑える為に機体を軽く
すなわち、装甲を薄くする傾向にある。
結果として、一撃でも当たれば落とされる。
「この状況で兆弾狙うのは無理だな」
オメダと相撃ちに持ち込んだ秋山を狙い撃った方法、兆弾。
狭く細く撃ちにくいが回避も難しい場所に追い込んでの射撃。
周囲のものを巻き込まないための方法として、実弾を選んでいたが
弾が跳ねる時の反応から、こちらの位置を推測したのだろうか。
万城目の攻撃は、休む時を知らないかのように連続的に行われている。
「休む暇なしかよ」
「デルタツヴァイからアストラルツー、…ごめん」
逃げ道なしという宣告。
だからといって、シミュレーター内であっても死ぬのは避けたい。
フレアだけでも、アオイだけでも、自分だけでも万城目には勝てない。
だが、生き残るためには、万城目を倒すしかない。
生き残りたい。
想いだけでは何もなすことは出来ない。
力だけでも何もなすことは出来ない。
生き残りたいという想いが、脳のリミッターを外し、
普段使われない部位が急速的に覚醒してゆく。
それにより、心拍数は上がり、瞳孔が開いてゆく。
「この感覚は……、いける。今なら…生き残るために」
機体を反転、万城目の居る方へと加速させる。
コクピットとメインカメラのみという最低限度の防御のみ行い、他の被弾は気にしない。
「動きが変わった?…覚醒したの?」
視線入力による武装選択、スマートライフル、バーストモード。
万城目も射撃から、近接戦闘に備えてビームサーベルを構え、機体を寄せてくる。
先に攻撃に動いたのは、カイトだった。
大腿部ビームカノンによる砲撃。
万城目は足元の小隕石を蹴り飛ばし、ビームカノンを回避。
下にもぐりこみ、斬り上げを繰り出している。
「変形で回避?いや、間に合わないか。ならっ」
機体を反転、バックパックで受けとめ、そのまま蹴りを繰り出そうと試みる。
万城目もそれを見て、ビームサーベルを切り、蹴りへと切り替える。
蹴りと蹴りによる攻撃の相殺。
互いの機体の動きが一瞬停止する。
刹那、カイトは引き金を引いた。
【マーメイドⅡ:シミュレータールーム】
「あと72時間ぐらい続けたかったけど、換装も終わったようですね」
「72時間とか勘弁して欲しいわ」
シミュレーターを終え、出てきた彼らの前にはクラリスと水瀬准将が立っていた。
「ガンダムは本当に連邦の切り札よ。絶対に生き残りなさい」
「この計画の鍵はあなたたちです。よろしくお願いしますね」
フレア達は、敬礼してから一路格納庫を目指す。
その後姿を見て水瀬准将は、つぶやいていた。
「彼もまた、覚醒する者なのですね」
「えぇ、私たちの誇る優秀な子達よ」
SECRET: 0
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戦士って…なんだろう…?