小組曲-Petite suite-
ダイパ…と言う名のポケモンレンジャーSS書くのは何年振りだろうね?
頭の中に構想は残ってたとはいえ、青版のが難産だからって気分転換に書き出したらあっさり出来るとは…
ミズキがシンオウ地方の地図をテーブルに広げる。
それを確認して、カイトが説明を始める。
「現在地はここ。中央にテンガンざんがあって、それを囲むように湖があった」
「あった?」
地図上では中心に書かれたテンガン山を囲むように湖が点在している。
その内の1つ、リッシ湖はギンガ団を名乗る連中によって爆破され、現在も修復が終わっていない。
「ギンガ団が湖の爆破をたくらんだ時に、各地で防衛戦を張ったんだが…、その、やりすぎて」
カイトは言葉を濁しながら腰のモンスターボールへと目を向ける。
そこには、自らの意思でボールごと凍りついたフリーザーが入っている。
「凍らせちゃったわけ?」
「湖の全てを。しかも、炎ポケモンでも融けなかった」
「ばっかじゃないの?」
4人目のギンガ団幹部との戦い。
5匹目までは、いつもの戦法で倒して行けた。が、最後の1匹が問題だった。
この世には、世界に数匹しかいない、伝説のポケモンと呼ばれる者達が居る。
彼らは目撃情報が少なからずあり、実在する事は確認されている。
フリーザーもその1匹であり、戦力としても上層に君臨している。
だが、それ以上に貴重な、存在が伝説、伝承として語られるのみのポケモン達。
幻のポケモンと呼ばれる者達もいる。
そんな1匹を連れていた。
影の中の光。真なる影。
存在するだけで周囲に悪夢を見せると言われるポケモン。
その名も、ダークライ。
よりによって、そんな幻のポケモンを、6匹目として連れていた。
故に、全力を出さざるを得なくなり、北端に位置するエイチ湖は水底まで凍りついた状態になってしまっていた。
「シンジ湖は?」
「そっちは、ミュートが防衛しきった」
「フタバタウンなら友達の野生ポケモンも多いからね。楽々だったよ」
もっとも、そんな事をしたギンガ団は、伝説のポケモンを呼び出しその力で世界を作り直そうとした為
ポケモンリーグの指示によってジムリーダー達と、ポケモントレーナーによって壊滅。
ギンガ団トップだった人物は行方不明となっている。
シンオウ地方は、平和になったはずだった。
野生ポケモンの暴走事件が頻発するまでは。
「で、このリッシ湖跡を中心に野生ポケモンの暴走事件が頻発している」
「カイト、暴走事件って町に入り込むだけじゃないってことだよね」
「わざわざ店に入ってから暴れ出す、顔に水かけても怯まない。警察からの情報はこんな感じだ」
明確な壁等が無い以上、ポケモンも町に入ってこないわけではない。
だが、暴れ出すようなポケモンであれば、町に入る前から暴れているし、顔に水をかければ多少なりとも怯むのが常だった。
「まって、それ、私見た事があるよ」
声を上げたのは、レオナだった。
「特殊な改造されたスタイラーで操っている時…とか…、そういう事?」
「シンバラ教授にも確認した結果、同じ結論になっている。そして、援軍をよこしてくれた」
「援軍?レンジャーで、こっちまで来れるような人は居なかったと思うけど…」
レオナが記憶を手繰り寄せるが、殆どがフィオレ地方、アルミア地方の活動で忙しく
応援に来る事が出来る状態ではない。
そもそも、レオナがここに居る事自体が無理しているようなものなのである。
このような状況下で、レンジャー本部から応援に来れるような人物に心当たりは一切なかった。
「入ってきてくれ」
カイトの声に部屋に新しく入ってきたのは、アルミア地方で活動している男3人と女1人のロックバンドだった。